- コラム
プロカメラマン田中正清先生が撮る! 東京都三鷹市歴史お散歩スナップ
2018/11/19 by 編集部 ともりん
こんにちは、どこまでも写真勉強中の富竹です。
前回のプロカメラマンの田中先生へのインタビューに引き続き、今回はプロカメラマンの撮影の現場を見せていただきました。寿司を撮るブツ撮り(スチルライフ)と、人物を撮るポートレートの2パターンで撮影です。
プロの機材、半分はカメラ、レンズですが、もう半分は三脚やストロボ・レフ板・露出計といったライティング関係の機材です。重さだけで言えば、カメラ、レンズ以外のもののほうがよほど重たいんです。
今回の撮影機材は、スーツケース型のカメラバッグが一台(推定20kg)、ギターケースが一つとレフ板でした。
このようにギターケースに荷物を入れるのも、カメラマンのオリジナリティが出るとのこと。
先生愛用のCanon EOS 7D Mark IIと、レンズたちです。
・EF 35mm F2
・EF 50mm F2.5 コンパクトマクロ
・EF 50mm F1.4 USM
・EF 24-105mm F3.5-5.6 IS STM
どれも決して最高級品でもなく、重量級でもなく、絶妙に、使うときに必要な機材をきちんと揃えていらっしゃいます。
筆者富竹はまだまだド素人なので、わけも分からずレンズを6本持ってきましたが、今回の取材では2〜3本しか使いませんでした。「アマチュアは現場に最適な機材を選べない」ということですね。精進します。
ちなみに2本のレンズの底面を緑色のテープで繋いでいるのは、先生の師匠から教わった機材管理テクニックだそうです。
モノブロックストロボ(大型ストロボ)を1台、商品撮影用ブースを一台、てきぱきと組み立ててテストを繰り返します。この写真は、何度もテスト撮影を重ね、慎重に設定を調整している様子です。
ブツ撮りの場合、三脚を立てて構図を固定し、リモートシャッターで手ブレを防いで撮影するのが基本です。
先生が手に持っているのはグレーカードという道具です。こちらを使うことで、ホワイトバランス(色味)を調節しています。レフ板の代わりとして使っています。
EOS 7D Mark II + EF 50mm F2.5 コンパクトマクロ
ストロボを炊き、寿司を水で濡らして、シズル感が出るように撮影しています。レフ板の効果によって、影も柔らかくなっていますね。お醤油の光沢にもそそられます。
EOS 7D Mark II + EF 50mm F2.5 コンパクトマクロ
ここであえて、ストロボを切って違いを見せていただきました。ハッキリ違いますね。
EOS 7D Mark II + EF 50mm F2.5 コンパクトマクロ
こちらは寿司ネタを変え、ストロボを焚いて美味しそうに見える色味で撮影しています。
EOS 7D Mark II + EF 50mm F2.5 コンパクトマクロ
ここでもあえてストロボを切っていただいています。白熱灯の色味で、かなり黄色っぽくなり、材料の表面の質感も失われています。プロはストロボを焚いてライトコントロールすることで、よりリアルに被写体を写していることがわかります。
寿司を撮り終わると、機材を組み替え始め、写真館で撮られるときに見かけるようなアンブレラを立てました! 足元には、先程使ったストロボを上向きにしています。
富竹も手伝い、レフ板を組み上げました。
今回のモデルは、女子社員の小室あやかさんです。
お茶を届けに来ただけのはずが、なにやら言いくるめられてポートレートのモデルをすることに!? 孔明の罠、いえCamoor編集部の罠!
こちらが最初の一枚。彼女は写真に撮られることに慣れていないので、心なしか表情も姿勢も緊張ぎみ。
すると俄然視線の鋭くなった田中先生がモデルにポージングのアドバイスをはじめました!
田中先生:
こうやって後ろで手を組んで、少し胸を張って! 体をちょっと斜めに向けて、カメラ目線で、こう……
小室さん:
やってみます!
そして撮ってみた一枚がこちら!
ぜんぜん違う! 同じ人物でも、ポージングや表情によって写真の印象は大きく変わってしまいます。本人の魅力をうまく引き出し、イメージ通りの絵になるように指示出しができるのがプロのテクニックですね。
ちなみに本人お気に入りのカットはこちら。髪や唇のツヤ感や肌色の美しさはさすがプロの写真だと感じます。
さらに1カット、ストロボの配置を変えてカリスマ風に撮れるライティングに組み替えました。モデルの小室さんを座らせ、向かって右からの強い光に、左からのレフ板で反射光を当てます。
あまりに本格的な機材に小室さんも落ち着かない様子。トークし続けながら、ころころとかわる表情の中で、シャッターを切り続けます。
仕上がりはこちら! まるでカリスマ経営者みたいに力強く写っています。
本来、顔に陰影ができる写り方は男性ポートレートのライティングで、女性ポートレートではとても難しいですが、瞳の力強さ、本人の表情など、うまく引き出しています。
プロカメラマンの撮ったブツ撮り、そしてポートレート。決して100万円のカメラで撮影したわけでも、Photoshopで編集をしたわけでもなく、純粋にテクニックです。踏んできた場数の違い、経験で、その場にふさわしいライティングをささっとイメージし、形にするため光をコントロールする。文字にするとかんたんですが、そのにはたくさんの経験値が必要だからこそ、プロがプロたるゆえんになるわけです。
前回と今回の2回に渡ってお送りしてきたプロカメラマン田中先生のインタビュー記事ですが、お忙しい中、本当にありがとうございました! 自分もまだまだ勉強の途中なのだなと気を引き締めた富竹です。
それでは、楽しいカメラライフを!
関連記事:インタビュー前編 プロが語る! プロカメラマンの世界
フリーのカメラマン。1988年生まれ。2010年より写真家・水谷幹治に師事し、純喫茶・ドヤ街・商店街など滅びゆく昭和をテーマに作品制作を行う。
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