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インタビュー後編 プロが撮る! プロカメラマンの現場
2017/07/5 by 富竹次郎
こんにちは、写真勉強中の富竹です。いままでもこれからも生涯勉強の連続です。写真の道は奥が深い!
今回は、今年で写真歴23年、建築写真やポートレート写真のプロとして活躍中の現役カメラマンである田中正清先生をゲストにお呼びして、インタビューを行いました!
富竹:
本日はインタビューよろしくお願いいたします! 最初の質問は、ズバリ、プロとアマの写真の違いについて教えていただきたいです。
田中先生:
そうですね。アマチュアの人は、常に100点満点の写真を狙うんです。アマチュアの世界は自己満足がほとんどで、プロの世界はクライアントありきで動いているんです。
プロは、100点を目指してはいるけど、最低点で70点以上にすることを心がけています。プロの場合、自分で100点の写真を撮ったつもりでも、クライアント次第では使われなかったりします。
たとえばフィルムでは36枚撮りですが、プロは必ず10枚以上は使える写真があるんです。アマチュアの方の場合、フィルムを10本撮らないと、なかなか使える写真がないこともあります。そこが大きな違いですね。
富竹:
プロの方とアマでは、やはり機材は大きく違うものでしょうか?
田中先生:
実は、アマチュアの人ほど、変に機材関係をなんでも買っちゃうんですよ。無駄に高級なレンズをいくつも買ってしまう。プロの場合、仕事で使う必要なものだけを購入するんです。自分で使うものを理解しています。
アイドルイベントの撮影の現場では、アマチュアの人の方がむしろ高級なレンズ(30〜40万円)を使っていました。こんなに長い望遠レンズとか(笑)。
5mぐらい先のタレントを撮るために、新聞社に置いてあるような、超望遠レンズで撮るんです。プロの私が当時使っていたのは、80−200mm F2.8という17万円ほどのレンズです。アマチュアの人は現場に最適な機材を選べない人が多いです。
とくに現場経験の少ない方は撮影内容を聞くとミドルクラスのカメラで十分なのに、最上級機種を買っていますね。
富竹:
パソコンと同じで、スペックが高ければいいのだと思ってしまったのかもしれませんね。知人にも、滅多に使わないのに20万円以上する一眼レフを買って持て余している方がいます。
富竹:
先生が写真を学んだのは、やはり専門学校時代ですか?
田中先生:
私は大阪の写真専門学校を卒業しました。商品撮影や人物撮影を習うスタジオの授業、暗室作業を習う表現の授業などがありました。しかし、実際に撮影のテクニックを身につけたのは、雑誌社に就職後の現場でした。
富竹:
学校の授業よりも、実践ということでしょうか?
田中先生:
私にとっては、上京して東京で仕事した経験が一番プラスになりました。社内のライバルに負けたくない一心で実力を上達させたんです。
富竹:
なるほど、厳しい環境の中で強いモチベーションを維持したからこその今があるんですね。
富竹:
数あるテクニックの中で、特に重視していることはありますか?
田中先生:
私は常に頭の中で構図をイメージするようにしています。撮る前に、こういう絵をつくろうとイメージを作ってから撮るんです。
構図作りは想像力、イメージなんですよ。想像力がある人は絵作りが上手です。父親がカメラマンの人なんかは特に絵作りが得意でした。こういう構図を作る、というイメージにセンスが出るんです。
富竹:
たしかに、プロの写真は構図を徹底していますよね。しかし、なかなか初心者やアマチュアではイメージ作りって難しいと思うんです。先生が初心者の頃、どんな写真家を参考にされましたか?
田中先生:
私は立木義浩先生を参考にしました。イメージもね、最初は誰でもマネから入るんです。まわりからは、どうしてそんな平凡な写真を参考にするんだ、と言われましたが、私は好きでした。
富竹:
誰でも最初はマネから入り、参考にしていくんですね。
田中先生:
写真がうまくなるのは出会いです。出会いがあって成長するんです。現代ではデジタルカメラになって、フィルムよりも一枚の重さが減りました。撮ってもプリントしないし、Facebookなどでシェアして終わることもありますよね。アマチュアの人は1人、2人に見せて満足しています。写真の上達には、たくさんの人に見てもらうことが大事なんですよ。仲間内で何人か集まってプリントしたものを見せ合うだけでも成長するんです。
富竹:
私も写真家のワークショップで毎週プリントして見てもらって、これはいい、これはダメ、この方向で続けよう、とアドバイスをもらっていました。
田中先生:
そういうのは素晴らしいですね。SNSで「いいね」をたくさんもらっても、あまり当てになりません。編集者やプロなどの目利きの人に見てもらって「いいね」をもらえたら、それは価値があります。
田中先生:
そういえば、カメラマンってどの現場でも力を発揮することってなかなか難しいんですよ! お医者さんといっしょで、専門分野があるんです。内科、外科、小児科のように。ポートレートカメラマン、建築カメラマン、ブツ撮りなど、専門(ジャンル)が細かく分かれています。一般の方はこれを知らないことが多いですね。
富竹:
確かに、餅は餅屋で、ブライダルはブライダル、ブツ撮りはブツ撮りで、それぞれ専門家がいらっしゃいますね。
田中先生:
博物館や美術館、図書館の外観の写真を撮ることは、いくらでも距離をとって撮影できるため、難易度が低いです。私が専門としている住宅の内観撮影は、これ以上引くところがない中で工夫して撮るため、実はとても難易度が高いんです。
富竹:
難易度の高い現場で常に70点以上の成果を出せるからこそ、プロカメラマンということですね。
インタビューに引き続き、普通のアマチュアカメラマンではなかなか知ることのできない、プロの生の撮影現場の一部始終をしっかり見学させていただきました。次回、プロが撮る!
フリーのカメラマン。1988年生まれ。2010年より写真家・水谷幹治に師事し、純喫茶・ドヤ街・商店街など滅びゆく昭和をテーマに作品制作を行う。
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