新宿で撮ったモノクロ写真を自家現像してみた 〜モノクロ写真の世界〜

2017/06/29  by 富竹次郎

こんにちは。手が臭くなった富竹です。

今回は、ついにやっちゃいました。フィルムの自家現像です。手が臭くなる、廃液の処理に困る……! でも一度始めたらやめられない、そんな自家現像の世界です。

Lomography BLACK&WHITE LADY GREY 400(モノクロフィルム)
今回撮影に使ったLomography BLACK&WHITE LADY GREY 400(モノクロフィルム)

モノクロフィルムの作例

まずは、自家現像したフィルムの作例をみていただきましょう。

居酒屋 Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400
Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400, EF 85mm F1.8 USM

暖簾 Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400
Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400, EF 85mm F1.8 USM

新宿副都心 高層ビル群 Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400
Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400, EF 50mm F1.8 STM

道路 Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400
Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400, EF 50mm F1.8 STM

歌舞伎町一番街 Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400
Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400, EF 17-40mm F4L USM

H&M Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400
Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400, EF 17-40mm F4L USM

タクシー Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400
Canon EOS 55, Lomography Lady Grey 400, EF 17-40mm F4L USM

味のある写真ができあがりました!

フィルム自家現像に必要な道具

自家現像 道具類

道具類

・現像タンク
・フィルムピッカー
・ダークバッグ
・水温計
・はさみ
・洗濯バサミ
 

薬品類

・Kodak D-76 (現像液)
・富士フィルム 富士酢酸 (停止液)
・富士フィルム スーパーフジフィックス(定着液)
・富士フィルムQW 水洗促進剤

これらを買い集めましょう!
ビックカメラやヨドバシカメラなどで入手可能です。暗室設備は不要です。

フィルムを引き出そう

現像タンク
蓋の付いた金属のボトルが現像タンクです。青いのがフィルムピッカーです。

フィルムピッカー1フィルムピッカー2
フィルムピッカーを使ってフィルムを取り出します。使い方はフィルムピッカー本体に書いてあります。

ダークバッグ
続いてはこちら。ダークバッグです。これが暗室のようなもので、フィルムを露光させないように、ここの中で、タンクにフィルムを詰めていきます。

ダークバッグ 中身
ダークバッグの中にははさみを入れるのを忘れないように!

次は真っ暗な中、手探りでフィルムをリール(ねじ巻き状の道具)に巻きつけていく作業です。やり方は、爪の部分にフィルムの端の穴をひっかけ、ねじまきの方向に巻いていく、というものです。現像済みのフィルムで作業してみせると……
自家現像 リール1自家現像 リール2
言葉で説明するのが非常に困難です! 初めてやる場合、8割の人はこの巻付けが出来ず失敗します。誰か得意な人に教わりましょう。

薬品を作る

現像液 D-76
 

現像液D-76をつくる

D-76は高温でないと溶けない粉末薬品のため、お湯に溶かして作ります。本来なら専用の容器が望ましいですが、今回は手っ取り早くペットボトルを利用しています。現像液は20℃で使用するのが望ましく、急いで使いたければ冷蔵庫等で冷やしましょう。
 

停止液を作る

停止液は、1リットルに対し30mlと非常に少量です。ペットボトルなどを利用して作ります。
 

定着液を作る

定着液は、水2に対し1ということで、ペットボトルを利用し500ml作りました。
 

水洗促進剤を作る

お湯を利用して溶かしました。青い液体になるので、他のものと間違えにくいです。

実際に現像を開始する

現像タンク2
ここからの作業は地味なものです。
 

現像液を入れる

現像タンクの上から現像液を投入し、水温に応じた時間分だけひたします。置きっぱなしだと全体に液体が行き渡らない場合があるため、上下にひっくり返して気泡を抜き、撹拌します。

フィルムメーカーの公式サイトに現像液が20℃の場合、ひたす時間(現像時間)は7.5分と書かれていました。今回は24℃の現像液を使用したので現像時間は5分に短縮しました。

作業後の現像液は、捨てます。

現像液はとても強いアルカリ性物質のため、廃液は別のペットボトルなどに回収しておきましょう。
 

停止液を入れる

停止液は、化学反応を止めるための液体です。水でもかまわないという意見もあります。30秒ほど漬けたら停止液を捨てます。
 

定着液を入れる

ここまで来ると現像も大詰めです。定着液を入れ上下にひっくり返し撹拌しながら、10分間程度放置、その後定着液を捨てます。
 

予備水洗する

自家現像 予備水洗
思い切って蓋を開けて、30秒ほど水洗いします。このときには化学反応は完了しているので、もう開けてしまって大丈夫です。
 

水洗促進剤に入れ、本水洗

自家現像 本水洗
水洗促進剤(QW)に1分程度つけておきます。その後、水洗促進剤は捨ててしまい、再度流水で5分洗いましょう。
 

水切り

自家現像 フィルム
ドライウェルという薬剤(水切り剤)があります。今回買い忘れてしまったのですが、水切り剤に漬けておくと、乾きやすくなる水滴がつきにくいというメリットがあります。

最後は洗濯バサミでぶらさげてよく乾かし、残った水滴を柔らかいスポンジで拭き取りましょう。フィルムについた傷はもとには戻らないので注意。
 

完成!

自家現像 フィルム
6カットごとに裁断して、フィルム用のスリーブに収納したら、おしまいです。

最後に

フィルムの自家現像には、けっこう準備がいりますし、タオルや汚れてもいい服など、作業環境面で準備する手間があります。

そのかわり、モノクロフィルム現像をお店に回すと1週間程度時間がかかり、店舗によっては別途手数料を取られたり、現像自体を断られたりすることを考えると、なかなか悪くない選択肢だと思います。

失敗した方もうまくいったかたも、「結果をコントロールしきれない楽しさ」を味わうためにも、何度もチャレンジして楽しんでみてください。

それでは、楽しいカメラライフを!

次回予告

あの東京の観光地、浅草の地下に眠る昭和をモノクロフィルムで撮ってきました! 乞うご期待!

モノクロ写真の世界シリーズはこちらから

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富竹次郎

フリーのカメラマン。1988年生まれ。2010年より写真家・水谷幹治に師事し、純喫茶・ドヤ街・商店街など滅びゆく昭和をテーマに作品制作を行う。

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