もうスマホで十分? 一眼カメラと比べてみた

2017/05/31  by 富竹次郎

2017年現在、iPhone7のカメラの画質は1200万画素にまで進化しました。

出典:YouTube(Apple)

携帯電話(ガラパゴスケータイ)のカメラはセンサーのサイズが非常に小さく、処理エンジンもデジタルカメラに比べてかなり低機能なものだったので、2000年〜2013年ごろまでは、ケータイの写真はカメラで撮ったものに比べひどく低画質で、暗所に弱く、色再現も不十分で、ケータイの写真画質はカメラにはとても及ばないというのが常識でした。

ところが現代のiPhone7や各社ハイエンドスマートフォンのカメラ機能の進化は素晴らしく、明るい場所に限って言えば、安いコンパクトデジタルカメラ顔負けの高性能です。ただし、暗い場所での撮影が苦手……。イメージセンサーがとても小さくボケにくい、カメラとして設定を操作しにくい光学式望遠ズームができないといったデメリットを抱えています。

一眼レフの操作に慣れていない人がマニュアル撮影するよりも、iPhone7のオート撮影のほうが仕上がりがよかったりするので、「結局スマホでいい」という声が上がってきたりします。一眼カメラは操作に慣れさえすれば基本的にスマホに負けないんです。

いくらスマホが進化しても、一眼カメラでしか撮れない写真があり、魅力は決して色褪せることなく、むしろスマホと一緒に使うことで価値が上がっていると思っています。

まずは作例をご覧ください。


iPhone7で撮影


EOS 6D, 50mm F1.8で撮影(2012年製フルサイズデジタル一眼レフ)


iPhone7で撮影


EOS M5, 22mm F2で撮影(2016年製APS-Cミラーレス一眼)


iPhone7で撮影


EOS 6D, 50mm F1.8で撮影(2012年製フルサイズデジタル一眼レフ)

一眼レフやミラーレス一眼には、スマートフォンのカメラのセンサーでは決して撮れない、ボケを活かした写真や、キメの細かい立体感のある写真が撮れます。この差は、同じような画素数でも一眼カメラのセンサーのサイズが大きいからです。

センサーサイズとは


デジタルカメラは、レンズから取り込んだ光を撮像素子(センサー)と画像処理エンジンが加工して、JPEGなどの写真の画像データを作り出して言います。 センサーが大きければ大きいほどたくさんの光をとりこむため、暗所撮影に強くなりノイズが出にくいという特徴があります。

例として、iPhone7(1200万画素)のセンサーは1/3型と呼ばれるサイズで、4.8×3.6mmです。先程使った作例のEOS M5(2400万画素)のセンサーはAPS-Cと呼ばれるサイズで、22.3×14.9mmです。約19.2倍大きなセンサーを使っています。

そこで、1画素(=1ピクセル)あたりの面積(画素ピッチ)を計算してみると、EOS M5はiPhone7の9.6倍の面積を持っています。画素ピッチが小さければ小さいほど、暗所での撮影に弱くなります。また、画素数が大きければ情報量も多いため、同じ画面に縮小してみてもきめ細かく見えます

さらに大事なポイント。センサーサイズが大きくなれば、同じ画面の広さ(画角)を写すのに必要な焦点距離が変わってきます。iPhone7の場合、3.99mmのレンズですが、APS-CセンサーののEOS M5の場合18mm(iPhone比4.5倍)、フルサイズセンサーなら28mm(iPhone比7倍)になります。焦点距離が大きければ大きいほどボケるので、大きなセンサーを持った一眼カメラを使うと、立体感が生まれます

スマホのカメラは、携帯電話としての携帯性を損なわない程度の大きさで、コストの範囲内で作られているため、性能の限界はあります。

一眼カメラにはさまざまな機種があり、動体撮影にすぐれたタイプ、携帯性に特化したタイプ、風景写真向けの高画素タイプなど、それぞれデジタル技術の進化とともに発展してきました。一眼カメラなら、スマホのカメラで捉えきれない被写体を捉えることが出来ます。

スマホと連携して写真をもっと楽しもう


一眼カメラとスマートフォンがWi-Fiで連携することで、従来パソコンに繋いで取り込んでからの作業であった画像編集やSNSへのシェアをスマホ単体でできるようになりました。Twitter、Facebook、instagramなどのSNSでも一眼カメラで撮影された写真を見る機会が増えてきましたね。

筆者はフィルム時代からもブログを書いていました。撮影→現像→フィルムスキャン→画像編集、フィルムでは撮影からブログ掲載まで最低でも一週間程度かかりました。デジタル一眼であっても、カメラ本体にWi-Fi機能のなかった2010年ごろまでは、一度帰宅してからパソコンを操作しなければインターネット上に撮影した写真を公開できませんでした。Wi-Fi機能付きカメラの登場による旅行先から一眼カメラの写真を直接ネットにシェアできるスピード感は革命的だと感じています

今の時代の正解は、スマホ+カメラの2台構えではないでしょうか。スマホが高画素化して普及した今だからこそ、一眼カメラを持つことで他のスマホユーザーよりも一段上の写真を撮れるメリットが活きてきます。イベント会場や即売会のリポート、遊園地などプライベート写真のSNSシェアなど、活躍できる瞬間はたくさんありますね。

それでは、楽しい写真ライフを!

富竹次郎

フリーのカメラマン。1988年生まれ。2010年より写真家・水谷幹治に師事し、純喫茶・ドヤ街・商店街など滅びゆく昭和をテーマに作品制作を行う。

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