徹底レビュー!「写ルンです」で新宿御苑を撮ってきた

2017/06/1  by 富竹次郎

最近、女子高生の間で「写ルンです」が流行っていると耳にしました。フィルムで撮った写真を現像して、データCDを受取りinstagramに投稿するのが ブームのようです。

「写ルンです」は1986年に富士フイルムが発売した使い切りのフィルムカメラで、「レンズ付きフィルム」とも呼ばれています。操作するのは、シャッターボタンとフラッシュとフィルムの巻取りの3つだけ。ピントは固定、絞りも固定、シャッタースピードも固定です。非常にシンプルなため、難しい操作ができなくても、砂漠でも雪山でも海でも室内でも、誰でも大抵のシチュエーションで写真が撮れるようになっていました。めったにカメラを使わない家庭にとっては、高価なカメラはもったいない。家族写真や旅行写真に、使い切りカメラが爆発的にヒットしました。いまでも全国のコンビニで、写真店で、そして観光地の売店などでひっそりと売られています。(「写ルンです」の自販機は今でもあるんでしょうか……)

デジタルネイティブにはフィルムが新しい


フィルムで撮影した伊勢丹

フィルムカメラの新製品がかろうじて開発されていたのは2000年代初頭までなので、デジタル生まれデジタル育ちのイマドキの小中学生では、フィルムケースを見たことがない人も珍しくないそうです。若い世代にとって、フィルムは逆に新しいんです。

アラサーの筆者には、「写ルンです」は小学校の林間学校で持たされた思い出があります。でも、逆に言えばそれが最後で、2001年ごろからは200万画素のデジタルカメラを与えられていました。

フィルム写真は銀塩(ゼラチンシルバー)写真とも呼ばれ、フィルム表面に塗布された感光材料(ハロゲン化銀)にレンズを通った光を当てることで化学反応を起こし映像を記録します。化学反応した撮影済みフィルムを薬品処理し、ネガやポジ(スライド)にすることを「現像」といいます。アナログ写真は“化学”なのです。

そのため、フィルム写真には独特の粒状感があり、発色にもフィルム銘柄の個性が出ます

かつてフィルムには、派手な発色のフィルム(FUJICHROME VELVIA50)、おとなしめの発色のフィルムなど(FUJICHROME PROVIA400)、モノクロ専用高感度フィルム(NEOPAN PRESTO1600)など、さまざまな特徴をもった多数のフィルム銘柄が販売されていました。現在はフィルム売上低迷に伴い、国内外の多くのフィルム銘柄が姿を消してしまいました。
(※FUJIFILMのXシリーズのカメラではフィルムシミュレーションという形で、フィルムの銘柄を再現した味付けの写真が撮れます。)

カラーフィルムには現像処理で色を変化させるテクニックがあり、Instagramのフィルターをはじめ、写真加工アプリの多くが、フィルム写真の発色をエミュレーションしています。フィルムの画質をめざしてデジタルカメラが進化した時代が長く続いていました。そして現在は逆。面白いですね。

そんなわけで、フィルム写真とデジタル写真を撮り比べてみましょう。

「写ルンです」を買ってみた

さっそく、「写ルンです シンプルエース」を買ってきました。2001年発売の最もシンプルなモデルで、680円(税抜)です。
パッケージは縦で、スリムでコンパクトな印象を受けます。

開封してみました。ファインダー、レンズ、フラッシュがあります。

背面はこんな感じ。「なまえ・メモ」欄に、ユーザーへのやさしさを感じます。右にストラップホールがついていますね。

これを持って、新宿御苑を撮ってきました。実写は後ほど!

現像に出してみた

その場で写真がプリントされるチェキやポラロイドなどのインスタントカメラと違い、撮り終わったら現像所に出して、受け取りまで30分〜1時間くらいかかります。カメラのキタムラ、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、パレットプラザ、55STATIONなど、全国のショップで現像を依頼できます。

今回はビックカメラにて「フィルム現像」と「データCD」をお願いしました。フィルム現像代600円、データCD代500円でした。

出来上がりはこんな感じです。左がデータCD、右がフィルムのネガです。

データCDの中身は、データCDの操作ガイド(左)、インデックスシート(右上)、CD-ROMの一式です。たくさんあるとどれがどれかわからなくなりそうなので、きちんと書き込んでメモしておくとよいでしょう。

写ルンです(フィルム)とCanon EOS 6D(デジタル)を比較してみよう

上がってきたデータを取り込んで、同じ場所で同時に撮ったデジタル写真と比べてみます。結構違うので驚きました。

Canon EOS 6D, 24-105mm F4L IS USMで撮影

「写ルンです」で撮影

写ルンです(フィルム)はシャドー部(暗い部分)のトーンの表現が苦手で、コントラストが強めになっています。どことなく緑色が黄色っぽいため、昔に撮ったような雰囲気が出ていますね。トーン(階調)の違いが強いです。

Canon EOS 6D, 24-105mm F4L IS USMで撮影

「写ルンです」で撮影

こういう写真、海外旅行が好きな人の部屋に貼ってありませんか? 色の雰囲気がデジタルのものと違い、まるで海外の写真に見えますね。写ルンです(フィルム)の写真は明るすぎて空が白飛びしてしまっています。カラー写真の場合、こういったトーンの調整は今のデジタル写真が得意です。

Canon EOS 6D, 24-105mm F4L IS USMで撮影

「写ルンです」で撮影

写ルンです(フィルム)の四隅を見てみてください。ボケ、色のにじみのようなものが感じられませんか? これは収差(しゅうさ)と呼ばれるものです。カメラレンズの弱点でもあり、同時にレンズの「味」を出す要素でもあります。現代のレンズの多くは、できるだけこの収差を抑えるように設計され、綺麗に写せます。写真に「味」を求める人は、収差の残るオールドレンズの購入をオススメします。

京都アニメーションの作品『たまこまーけっと』『境界の彼方』『聲の形』などでは、手描きのはずのアニメの絵にあえてレンズ収差を描き加えることで、実写のようなリアル感とポエティックな雰囲気を演出しています。

Canon EOS 6D, 24-105mm F4L IS USMで撮影

「写ルンです」で撮影

新緑から覗く太陽をパチリ。太陽などの強い光源を写すと、こんなふうにレンズフレア・ゴーストというものが映り込みます。描写の繊細さではデジタルカメラですが、雰囲気では写ルンです(フィルム)の圧勝です。

Canon EOS 6D, 24-105mm F4L IS USMで撮影

「写ルンです」で撮影

木漏れ日を撮影してみました。これはきっと、写真が暗かったため、写ルンです(フィルム)の写真は機械がスキャンした時に自動的に補正したのでしょう。シャドー部のトーンをむりやり浮かび上がらせているため、ノイズが乗っています。ノイズのない写真を見慣れていると、逆にノイズが「味」に見えます。Adobeの写真ソフト「Lightroom」にも、わざわざ粒状感・ノイズを乗せる機能があります。

最後に

フィルムカメラは、現代ではもはや骨董品のような扱い。高級品はどんどんプレミアが付き、普及品は発売当時数万円もしたものがジャンクボックスで3,000円で売られていたりします。中古の暗室用品もタダ同然でやりとりされていたり……。これからフィルムを始めるのも、十年前よりずっとイニシャルコストが安くていいのかもしれませんね。

とはいえ、古いフィルムカメラは扱いが難しく、教わらないとフィルムを詰めることすら難しい機種も少なくありません。古い機械式カメラに挑戦するときは、ぜひ中古専門店で買ってお店の人に教わってくださいね!

「写ルンです」はフィルムカメラですが、操作が簡単なため、知識がない人でも気軽に楽しめることができます。今回使った「写ルンです」は27枚撮り。トータル2,000円以下で楽しめました。マンネリをぶっ飛ばすアイテムとして、おひとついかがでしょうか。

なんと、「写ルンです」専用カメラケースも発売となったようです。

「写ルンです」ブームがさらに加速していきますね。

それでは、楽しいカメラライフを!

FUJIFILM フジカラーレンズ付フィルム 写ルンです スタンダードタイプ シンプルエース 27枚撮り LF S-ACE NP FL 27SH 1
ミーナ 写ルンです専用レザーケース カバー(革ひも付き) (レッド)

富竹次郎

フリーのカメラマン。1988年生まれ。2010年より写真家・水谷幹治に師事し、純喫茶・ドヤ街・商店街など滅びゆく昭和をテーマに作品制作を行う。

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