1963年のロシアオールドレンズ jupiter-9 85mmで有楽町・築地を撮る!

2017/08/4  by 富竹次郎

こんにちは、富竹です。自分が生まれるより前の世界は情熱と混乱に満ちていて、時々憧れたりします。もしその激動の時代に自分がいたら、なんて思ったりしますね。

今回は、1963年に作られたというレンズをご紹介します。東ドイツ・Carl Zeiss Jena(カールツァイスイエナ)社製Sonnarのコピー品と言われる、有名なロシアレンズjupiter-9 85mm F2の使用感レビューを書いていきます。

現代にはない金属感

昔のロシアレンズは、いえ世界のカメラメーカーは、ドイツ製品のコピーばかりでした。初期型に近いものはドイツ製品の丸パクリなので、上品なデザインの名残がありましたが、モデルチェンジを重ねると次第にゴツゴツした独特のデザインへと移り変わります。

今回使うのは、かなりドイツっぽい、ライカLマウント用に作られたjupiter-9 85mm F2です。
jupiter-9 85mm F2 Canon EOS 6D, EF 100mm F2.8 Macro USM
Canon EOS 6D, EF 100mm F2.8 Macro USM

レンズが青紫色のコーティングです。きれいですね。

jupiter-9 85mm F2 横 Canon EOS 6D, EF 100mm F2.8 Macro USM
Canon EOS 6D, EF 100mm F2.8 Macro USM

どうでしょう、この金属感! 古さを感じさせる見た目ですね。
さっそくこれを使って街を撮ってみます。

モノクロ時代のレンズ

さて、東京都といえば豊洲市場移転問題がニュースになっていましたね。今回は築地場外市場を目指して撮影しながら移動してきました。今回はレンズの味を活かすため、あえてRAW現像時に補正をかけていません

有楽町駅についたので、とりあえずパチリ。

有楽町 阪急 SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

色が……色が緑色っぽい……?

有楽町 SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

うーん、だいぶ緑色に色かぶりしています。古いレンズを使うとたまにあることです。何も加工していないのにinstagramのフィルターをかけたみたいになっていますね。

有楽町 高架 SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

高架下で盛大なレンズフレアが!
レンズフレアとは、逆光などの撮影時に、画面がぼやけてコントラストが失われる現象です。現代のレンズはよくできたコーティングがされているため、ここまでひどいレンズフレアはなかなか見ませんね。

有楽コンコース SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

有楽コンコースです。昭和風の店舗が立ち並ぶ高架下の一角です。

有楽町 ミルクホール SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

このあたり、味のある写りをしていますね。

有楽町 ミルクホール 白黒 SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

モノクロにしてみると納得。ああ、このレンズはカラーフィルムが普及する前のモノクロの撮影に向けて設計されていたんだなあとわかります。実際、富士フイルムのカラーフィルムが普及し始めたのは1970年代のこと。1960年代はモノクロフィルムが主流でした。歴史を感じますね。

エアリーフォト

築地場外市場 SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

築地場外市場に到着しました! 色がやっぱりおかしい! コンビニや看板広告を度外視すると、1980年代にお父さんが撮ってきた旅行写真みたいに見えるのが面白いですね。

築地場外市場 「お・も・て・な・し」 SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

1963年の人は「お・も・て・な・し」とは絶対に言わないので現代のものだとわかります。

築地場外市場 まぐろ屋 SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

場外市場の看板をパチリ。いいですね、フィルムで撮ったみたいです。

築地場外市場 シャッター SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

混雑を避けて午後二時ごろに向かったため、すでに閉まっているお店も。晴れの日のため、レンズフレアが出ています。ぼんやりと写りますね。

築地場外市場 路地 SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

これはレンズの絞りを少し絞ったため、レンズフレアが軽減されています。絞り込むと案外普通になってしまうので、あえて絞り開放で撮り続けます。

築地場外市場 道 SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2
SONY α7II, Jupiter-9 85mm F2

まだちらほらと外国人観光客がいらっしゃいますね。ただ、ほとんど店じまいのようです。どこを撮ってもレンズフレアと色かぶりで変なふうにしか写らない、そんな変わったレンズでした。

ただ、自然の多い場所や人物を撮ったら、さぞかし予想外の写りで面白いレンズになるのではないかなあと思います。

まとめ

このレンズはフジヤカメラのジャンク館で入手しました。ライカなどを多く取り扱う銀座の中古カメラ店や、ヤフオクやeBayなどのネットオークションで多く取引されています。

M42マウント用のものも存在し、比較的出回っている数が多く入手しやすいレンズなので、もし気になったら手にとってみてください!

それでは、楽しいカメラライフを!

富竹次郎

フリーのカメラマン。1988年生まれ。2010年より写真家・水谷幹治に師事し、純喫茶・ドヤ街・商店街など滅びゆく昭和をテーマに作品制作を行う。

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