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写真に“タイトル”を付けて“作品”にしよう
2017/05/29 by ジョニー.G
「そういえば写真、いっつもフォトジェニックだね。」
ひらひらとゆっくり舞う桜の様に、ぽつりと、そうジェニカは呟いた。
新学期、授業の合間のランチのあと。
デザートの様に甘い桜の香りに誘われ、
木陰に並ぶベンチに腰掛けた僕とジェニカ。
普段友達とみんなでいる時はさほど意識しないのに、
男女二人きり、という特殊なシチュエーションが生み出すドキドキ感が、
座る二人の間の妙な隙間に現れている。
彼女が左手に持つiPhoneの画面にふと目をやると、
インスタに最近僕が投稿した桜が写っている。
たった数日前に誇らしげに空を見上げていた彼らを改めて見ると、
今、名残惜しそうに足元を一面覆うピンクの絨毯の中に、
その時の彼らもいるんだと言われたとしても
僕は到底信じることができない。
「あ、ああ、たまたまファインダー越しに桜と目が合ったからさ、、
いやぁ、そういえば太陽光が入り過ぎてたからISOは100まで下げたっけなぁ、、WBは、、」
緊張しいな僕は、ドキドキするとつい説明し過ぎてしまう。
いつもの悪い癖だ。
そんな僕の説明が、もはや聞かれてもいない
『カメラは画素数が高ければ高いほど本当に良いのか?』
という終わりの無いテーマにまで及んだ時、
ジェニカはふふと笑い、僕の話を遮った。
「そういえば、近所の公園に、いつも喧嘩ばかりしている亀とカモがいるの。」
急な話題の路線変更についていけなかった僕は、
(これは、高画素信者と低画素信者の争いと掛けた何かの隠喩なのか?)
と、ジェニカの発言に対してもまだ画素数のことを引きづっていた。
きょとんとした僕を横目に、ジェニカは続ける。
「カモからしたらさ、あんなに不安定な母亀の甲羅の上に、
気づいたらちゃっかり小亀が何重にも乗っかってるなんて、
なんか納得いかないものね。
でも、、カモはカモで寝る時に限って一本足だし、、
まあ、だから私はお互い様だと思うんだけど、、
とにかく、今度写真撮ってよ?一緒に、行こっ」
「えっ?」
思いがけない返しに、僕の目はおよそF0.95のフォクトレンダーの単焦点を
さらにギリギリ一杯開放したみたいに見開いてしまった。
(困ったなあ。。天気の良い日中にこんなに開放しちゃうなんて、、
これじゃあNDフィルター重ねづけしなきゃまともに見れないじゃないか、、
眩しすぎる。。)
と、心の中で呟く僕。
それでも、ちょっと照れくさそうに笑った彼女の表情だけは、
本能が即時にオートフォーカス・露出補正し
高速連写モード 18コマ/秒で乱れ撮りしたかの様に、
いく枚も鮮明に脳裏に焼き付いている。
まるで、昨夜ベッドの中で中古の良品を買うかどうか迷い、
飽きることも無くスペックをチェックし続けたOM-D E-M1 Mark II
が僕に乗り移ったかのように。
それは、桜のフィルター加工が施され、
淡いピンク色に彩られた暖かい春の昼下がりだった。
見るもの全てがフォトジェニックに見える超ポジティブハッピーパーソン。
愛機GH4を片手に、街中に潜む被写体をハントする冒険に出ている。
日本ジェニカライズ協会会長を自称する
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