- コラム
マウントアダプターの世界 その3 浅草でニッコール
2017/09/15 by 富竹次郎
こんにちは。レンズ沼まっしぐらの富竹です。
最近マウンドアダプターを使ったオールドレンズの写真にどハマりしてます。レンズ沼というやつで、一度ハマると無限に増殖する恐ろしい病気です。
オールドレンズってどうなの? どうやって使うの? と言う前に、今日は、レンズについての基礎教養的なお話を書いていこうと思います。
昔々、戦前のカメラはとても原始的で、全世界でフィルムサイズもレンズの規格もバラバラでした。とても大柄で、かなりの専門知識がないと扱えない、そんなカメラが溢れていました。
ある時、ドイツのLeitz社で作られたライカという画期的なカメラが生み出されました。35mmフィルム(ライカ判とも言われる)という小さなフィルムを使った、携帯性の高い小型なカメラとして大きく普及しました。ピント合わせの方法からレンジファインダー型カメラと呼ばれています。
その時の一番最初のマウント(交換レンズ用レンズ規格)が、L39マウント(ライカスクリューマウント)です。
35mmフィルムは、今でも大きく普及していて、写ルンですも、一眼レフのフルサイズセンサーも、みんな35mmフィルムの規格なんです。その起源を作ったのがライカというカメラです。
そして、旧ソビエト連邦はライカを丸パクリしたZORKIやFEDといった製品を造りました。独自に進化させていった結果、仕上がりが雑すぎてオモチャみたいになるため、現在はLOMOを代表するトイカメラに進化しました。
その頃日本でも、キャノンやニコンの前身がライカを丸パクリしたカメラを造り、そこそこ独自の進化を遂げようとしましたが、さすがにライカに怒られたので独自にレンジファインダー型の弱点を克服した一眼レフカメラの開発を進めました。
そのおかげで、世界の流行は一眼レフカメラに集中し、戦場カメラマンもライカからニコンに鞍替えしていきました。
その時、Canon FDマウント、Nikon Fマウントなど、それぞれのメーカーが独自のレンズマウントを出し、同じ会社のレンズしか装着できないようにしました。逆に、それまでは共通のM42マウントで世界中のいろんな会社がレンズを作っていたんです。
ちなみにパクられ続けたライカはその後、2つのファインダー像からピント合わせをするレンジファインダー型のカメラを造り続け、ライカMシリーズと、ライカMマウントを生み出しました。
ライカMマウントはとても歴史の長いマウントの一つで、ベトナム戦争の頃はライカM3が従軍カメラマンに与えられ、2006年に初めてデジタル化したライカM8が作られ、現在はライカM10が発売されています。
レンジファインダー型のカメラと、一眼レフ式カメラ、2つ登場しましたね。ライカが作っていた古い時代のものと、日本が開発を進めた新しいものです。
この2つは、フランジバックというものが大きく違います。
フランジバックとは、レンズ交換式のカメラにおいて、レンズマウントのマウント面から、フィルム(撮像素子)面までの距離のことである。
出典:Wikipedia
レンズの後ろに何もなかったレンジファインダー型は、マウントからフィルムまでの距離が近かったのです。
レンズの後ろにミラーボックスを作った一眼レフカメラは、マウントからフィルムまでの距離が長く、フランジバックの長さは各社まちまちになりました。
フランジバックが長いニコンのレンズをキャノンにつけることはできますが、逆はできません。同じように、一眼レフカメラには、どんなにがんばってもレンジファインダー用レンズはつけられません。
そして現代、フランジバックの短いミラーレス一眼が順調に進化し、マウントアダプターと呼ばれるやばいアイテムのおかげで、フィルム時代のレンズをお手軽に装着して遊べるようになりました。
ミラーレス一眼はフランジバックがとても短く、マウントアダプターを使うと、レンジファインダー用レンズでも一眼レフ用レンズでも大抵取り付けられます。しかも背面液晶でピント合わせもできます!
2008年ごろ、マイクロフォーサーズのミラーレス一眼が発売されました。センサーサイズの関係上、焦点距離が35mmフィルム換算2倍になってしまうという欠点があるため、マウントアダプターを使う人はまだそこまで多くありませんでした。
2012年ごろ、マイクロフォーサーズよりセンサーの大きいAPS-Cのミラーレス一眼、富士フィルムのX-Pro1がマウントアダプター用ボディとして大きなブームとなりました。
そして2013年末、ソニーからフルサイズのミラーレス一眼α7シリーズが発売され、多くのオールドレンズファンはソニーのα7ボディを買いました。
ソニー用のマウントアダプターではキャノンやニコンのオートフォーカス専用レンズでさえ、無理やりオートフォーカスさせるものがあります。中国製から日本製まで値段もピンきりです。
それでは、楽しいカメラライフを!
買ってしまいました、ライカL39マウントレンズ!
最初期のライカについていたElmar 5cm F3.5をパクった、比較的原型を保っていた時代のほうの旧ソビエト連邦のレンズです。その後独自に形を変えていきますが微妙にダサいので、この形がいちばん好きです。
次回はα7にこのレンズを装着して現代の都市を撮って来ようと思います。果たして戦前のレンズはどんな風に写るのか? 乞うご期待です!
フリーのカメラマン。1988年生まれ。2010年より写真家・水谷幹治に師事し、純喫茶・ドヤ街・商店街など滅びゆく昭和をテーマに作品制作を行う。
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